「サプリと薬」の副作用は、医師も見落とす恐れがある

私も以前、別件の取材で、骨粗しょう症を疑われた人が整形外科でカルシウムの吸収率を上げるビタミンDを、別の内科医院から骨粗しょう症治療薬を処方され、さらに自分でもカルシウムのサプリを飲んだために、高カルシウム血症に陥って意識障害になった例を聞いたことがある。

サプリと薬の相互作用は膨大にあり、たとえ医師であっても副作用を見落とす恐れがある。多くの医師は『今日の治療薬』などの簡易なテキストで薬の作用について確認しているためだ。ハンドブックタイプなため、どうしても情報量が少なくなってしまう。先に紹介した『健康食品・サプリ「成分」のすべて ナチュラル・メディシンデータベース』(同文書院)は、私も益子医師に勧められて購入したのだが、片手では持てないほどの重さで膨大な情報量がある。

しかも、ここでは約1200の素材・成分(サプリ)についての安全性、有効性(6段階レベルで表記)、相互作用などまでエビデンスに基づき記されているのだ。もちろん医師も患者も、ひとつひとつの成分や製品を丹念に調べる手間はとれないかもしれない。けれども自分の体の状態には常に気を配り、少しでも異変を感じたら医師や薬剤師に相談してほしいと思う。

「『サプリメント+副作用』『サプリメント+薬物相互作用』などのキーワードを入れてアプリを活用して積極的に調べることも必要です」と益子医師。

「廃棄物を商品化したサプリ」も存在する

また商品を選ぶ際、成分と同様にサプリの「品質」についても気をつけたい。

なかには廃棄物を商品化したものがある、とある医師が教えてくれた。

「コラーゲンは鮭の鱗からも作られます。鮭缶を製造する時に捨てられる部分ですね。牡蠣の殻などは焼けばカルシウムになるし、ホタテやカニ、エビの殻、廃鶏から作られるサプリもある。だからといって品質が悪いわけではありませんが、含まれる成分や量だけでなく、オーガニックかどうかなどを含め産地や材料も大切です」

50年以上の薬剤師経験をもつ西澤啓子氏も、「薬のような厳しい基準がないため不純物が含まれていないかも気がかり」と話す。

薬剤師の西澤啓子氏
筆者撮影
薬剤師の西澤啓子氏

「かつて輸入されたダイエット食品に食欲を抑える向精神薬が含まれていて旧薬事法違反で摘発された事件がありました。よくみかける『しじみエキス凝縮のサプリ』には人に有害な重金属が取り除いてあるでしょうか。一方で有効成分はどれほど含まれているでしょうか。サプリは薬のような厳しい記載義務はありませんが、良心的な製造会社は第三者機関で商品を審査し、有害でないと認められた数値や、有効成分のデータなどを公開しているはずです」